間違いだらけの天文学 その1 太陽系


下の文章には幾つかの「誤り」「ニセ科学的ネタ」をわざと含ませています。どこが間違いかわかりますか?
ただし定義や数値は正しいものとして、それ以外のところから探してみてください。

 

私たちの太陽系は、中心に恒星である太陽があり、その周りを8つの惑星、5つの準惑星、無数の太陽系小天体が公転しています(2008年9月27日現在)。
私たちの太陽の周りを公転している天体を惑星、準惑星、太陽系小天体の3つに分類するというのは、2006年8月にプラハで行われた第26回国際天文学連合総会において、「惑星」を次のように決定したのが基になっています。

1)自己重力が分子間力を上回って静水圧平衡の形状(ほぼ球形)をとるのに十分な質量があり、
2)恒星の周りを巡る軌道にあって、かつ恒星でも衛星でもなく、
3)その軌道周辺で他の天体を一掃してしまっているもの

「惑星」はこれら全てを満たす必要があり、3番目の条件を満たさない天体は「準惑星」、2番目も満たさない天体は「太陽系小天体」と分類します。「衛星」などの定義はまだ決まっていません。
これに従い、これまで「惑星」とされてきた冥王星は新たに発見されたエリスと共に「準惑星」ということになりました。実は総会での採決の前に委員会内部で

「冥王星を惑星として残すべきかどうか?」

などについて相当やりとりがあったらしく、実際に3番目の条件は冥王星を惑星から外すために付けられた条件と言って良いでしょう。
何故なら冥王星の外側には準惑星の候補天体が既に数多く見つかっています。2008年7月に準惑星として認定されたマケマケ、9月に認定されたハウメア以外にも、ヴァルナ、イクシオン、クワオアー、2002 AW197、2002 TX300、セドナ、オルクスなどが候補として挙がっています。
他にも小惑星帯(すでに小惑星という呼び名は正式なモノではなくなりましたが)にも、準惑星セレス以外に、パラス、ベスタ、ヒギエアなどが候補として名を連ねています。
でももしこれらが全部惑星になっていたら、それはそれで大変なことになっていたんでしょうね?皆さんは覚えきれますか?

さて、とはいえこの「惑星の定義」にはいろいろな問題が指摘されています。特に3番目の定義はかなり難しい判断を迫られます。これは本来、

「同一軌道内に他の惑星サイズの天体を持たない、または他の小天体に対して重力的に多大な影響を与える天体」

という意味を含ませています。これを厳密に解釈すると、例えばアニメ「宇宙戦艦ヤマト」に出てくるガミラスイスカンダルは二重惑星と言われてきましたが、3番目の条件を満たしているとは言えないため、「二重準惑星」という定義になってしまいます。
また冥王星に比べてもかなり大きい衛星カロンは、冥王星とのコンビで「二重惑星と呼んでも良いのでは?」と言われてきましたが、これも「二重準惑星」というのが正式な呼び方になります。
太陽系最大の惑星である木星も、確かに他の小天体に対して非常に大きな重力を及ぼしていますが、同じ軌道上(で60度離れたラグランジュポイント)に「前方トロヤ群」「後方トロヤ群」という2つの小惑星群があるため、「他の天体を一掃している」とは言えないのが現状です。

2番目の定義にも様々な問題点が投げかけられています。
木星よりも80倍以上重たい星は中心で核融合を行って自ら光り、恒星と呼ばれますが、13倍から80倍までの間の星は核融合を行わない「褐色矮星」とされています。褐色矮星は恒星ではないため、恒星の周囲を公転すると惑星ということになるのか?というのは未決定のままです。特に時々話題にのぼる、オールト雲の中に存在する「ネメシス」については、その質量から褐色矮星である可能性が高く、惑星と呼んで良いのか議論が分かれます。

ただし衛星については大きさに関係なく、惑星、準惑星、太陽系小天体の周りを公転していれば衛星となります。実際、木星の衛星ガニメデは半径が2631km、土星の衛星タイタンは2575kmと、いずれも惑星である水星(半径2440km)よりも大きいにもかかわらず「衛星」とされています。また土星などの環についても、現在では無数の小天体から出来ていることがわかっていますので、「衛星」として扱われています。

ところで、これらから考えると実は地球も惑星と言いきって良いかどうかはかなり微妙です。月は1番目の条件を満たしていますし、衛星としてはかなり大きい天体です。地球と月の共通重心は今でこそ地球の中に収まっていますので「月は地球の衛星」という事に異論を挟む人はいませんが、距離が今の倍になると共通重心が地球の外に出てしまいますので、厳密な意味では

「月は地球の周りを回っている」

とは言えなくなってしまいます。こうなると地球も準惑星として扱われるようになるかもしれません。