「工作艦間宮の戦争」

投稿者: | 2018 年 7 月 8 日

ようやく読了です。

「工作艦間宮の戦争」
 谷甲州著
 早川書房刊

新・航空宇宙軍史シリーズの2冊目です。2099年に始まった第1次外惑星動乱から40年後、土星の衛星タイタンを中心とする外惑星連合と地球-月系との戦争が再び始まったという設定の物語です。

前巻の「コロンビア・ゼロ」では戦争に至る前段階の物語が中心となり、外惑星連合軍による地球衛星軌道への奇襲攻撃による開戦までが描かれていましたが、今回は少し時間が先に進んでいます。初戦で大損害を受けた地球-月系が、その工業力で何とか外惑星連合に対して巻き返しをするための戦略が描かれています。このシリーズは基本的に技術者の視点から戦争を描くことが多いため、今回も損害を受けた宇宙船を短期間で戦線復帰させるための方策などが示されています。

とはいえ、外惑星連合軍に「意外と戦果が挙がっていなかったのでは?」というショックを与えるために、大きな被害を受けた艦隊を完全に修理するのではなく、安全基準を引き下げることで現場に戻すという考え方は、大変危険なものかもしれません。気密漏れを完全に直すのが無理なら与圧区画として使用しないとか、構造体が毀損したために本来の重量を支えきれないのであれば装備を減らして構造体が耐えられる重量に抑えるとか、付け焼き刃もいいところ。確かにそういう手もあるのだろうとは思いますし、前線だと完全な修理を期待するのは無理なのも解りますが、全ての艦船でこれをやってしまうのは、数の割には戦力として計算ができないというか、能力不足でまともな作戦行動を取れない可能性が残るので、あまり使いたくはない手ですね。

興味があるのは、奇襲攻撃を受けて真っ二つに折れてしまったという航宙艦タウラスを戦線復帰させた方法です。どうやって復帰させたのかが出てはいませんでしたので詳細は不明なのですが、可能性としてはエンジンを搭載した後方部分を修理し、前方はほぼ張り子の虎状態でくっつけるとかでしょうか。もちろん戦闘機動なんかをしようものならすぐに船体が破断してしまうでしょうから、低加速で何とか対処可能な後方支援や情報処理系の艦として運用するという方法ですかね。

次巻でどの様になるのかが楽しみです。

 

今月の歩数:62,878歩
今日の体重:未計測